誕生日に会社からお祝いを届けるのに要るのは、月と日です。生まれた年は要りません。全員に聞くのは本人の誕生日と、届け先・電話番号だけ。家族は答えた社員の分だけ足せば、答えない社員がいても始められます。どこまで聞くかは、この「届けるのに要るもの」から逆算すると、項目が増えすぎずに済みます。

本人の誕生日より気をつかうのは、家族の分です。家族は会社に雇われておらず、聞かれて答えるのも社員です。会社は、その場にいない人の情報を、社員を通して預かることになります。

家族の名前と誕生日は、その家族の個人情報になる

個人情報保護法の第2条は、個人情報を「生存する個人に関する情報」に限っています。そのうち「氏名、生年月日その他の記述等」で「特定の個人を識別することができるもの」も個人情報にあたります。社員の妻の名前と誕生日なら、妻の個人情報にあたります。社員が代わりに答えても、情報の持ち主は家族のまま。

法の義務を負うのは「個人情報取扱事業者」です。社員の名簿を持って扱う会社がこれに当たる前提で、以下を書いています。

聞く前に、何に使うかを一文で決めておく

第17条 1 項は「個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。」と定めています。第21条 1 項は、個人情報を取得したときの決まりです。取得したら「速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない」とあります。前もって公表している場合は除かれます。

2 項は、本人から直接、書面に書かれた本人の個人情報を取るときの決まりです(書面には電磁的記録を含みます)。このときは「あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない」とあります。社員が自分の誕生日を用紙や画面に書くなら、こちらに当たると読めます。

法が求めるのは、目的を決めることと、本人に伝えるか公表することです。直接書面で取るなら、伝えるのは取る前です。花がかりは、目的を決めてから聞き、聞くときに伝える順を勧めます。目的は福利厚生という一語で止めないほうがよい、と花がかりは考えます。誰の誕生日に、会社から何をどこへ届けるのか。そこまで決めてから聞きます。社員にどう伝えるかの文面は会社が決めるもので、花がかりでは用意していません。

第17条 2 項は、利用目的を変えるときの決まりです。「変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲」を超えてはならない、とあります。ほかの手続きで家族の名前や生年月日を預かっていても、それを誕生日のお祝いに回せば、この範囲に収まるかが問われます。花がかりは、回さずに改めて聞くほうを勧めます。

採用の選考では、家族のことを聞かない

厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、選考で把握すると就職差別につながるおそれがある事項を挙げています。本人に責任のない事項の一つが「家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)」です。把握のしかたとして、応募用紙に書かせることや面接で尋ねることも書かれています。

誕生日の名簿は、選考と切り離して、入社してから聞きます。下の表の「家族の続柄」は、この続柄にあたる項目です。ただし聞くのは入社後で、答えるかどうかは社員に任せます。

全員に聞くのは本人の分だけ。家族は答えた人の分を足す

聞く項目を 2 段に分けます。1 段目は全員に聞く本人の分、2 段目は答えた社員の分だけ足す家族の分です。届けるのに使わないことは、どちらの段でも聞きません。

聞く項目を、全員に聞く 1 段目と、答えた人だけの 2 段目に分けた図
1 段目は全員に、2 段目は答えた社員の分だけ。生まれた年は聞かない
聞く項目段使う目的答えなかったときの扱い
本人の誕生日(月日)全員本人の誕生日に、会社からお祝いを届けるその人には届けない
届け先(自宅か会社)と電話番号。自宅なら郵便番号と住所全員届ける先と、留守だったときの連絡に使う自宅を答えない人は会社あてにする
家族の続柄とお名前答えた人だけ誰の誕生日かを決め、届けるときに使う家族の分は入れない。本人の分はそのまま
家族の誕生日(月日)答えた人だけ家族の誕生日に、会社からお祝いを届ける家族の分は入れない。本人の分はそのまま
生まれた年、家族の勤め先や学校など聞かない使わない聞かないので扱いも無い

電話番号の使い道は留守だったときの記事に書きました。

家族の分を足すと、答えた人と答えなかった人で回数が変わる

2 段に分けると、差が出ます。家族 1 人の誕生日を答えた社員には年 2 回届き、答えなかった社員と家族のいない社員には年 1 回です。この差を、会社として受け入れられるか。聞く前に社長と決めておきます。受け入れにくいなら、全員を本人の誕生日だけにして続ける形もあります。

答えるかどうかで、評価や手当、ほかの扱いを変えないことも先に決めておきます。答えたあとで「やめたい」と言われたら家族の記念日を消し、その月だけなら、届ける月の一覧で「今月は届けない」にします。一覧は毎月 20 日の締めを過ぎると、そのまま確定します。

情報の持ち主は家族なので、まだ答えを出していない点が 3 つあります。社員が書く家族の分に、第21条の 1 項と 2 項のどちらがかかるのか。通知や公表を家族にどう届けるのか。家族本人の同意をどう扱うのか。家族の分を聞く前に、顧問の社労士か弁護士に確かめてください。

花がかりは、本人の誕生日だけでも始められる

花がかりは、社員本人の誕生日だけでも始められます。家族の誕生日は、答えた社員の分だけ行を足します。家族の行に入れるのは 3 つです。誰の記念日か(妻・夫・子・父・母・その他)、その方のお名前、月日。生まれた年を入れる欄はありません。名簿を入れるのは総務の方で、社員が画面を使うことはありません。入れた内容を誰が見るかは始める前に決めることの記事にあります。

社員に聞く前に、上の表の「使う目的」の欄を、社長と一文ずつ決めてください。