名古屋の有効求人倍率は 1.49 倍で、愛知県内の地域ではいちばん高い数字です。採用に手を打つその年に、今いる社員の家族が会社の名前を目にする日を、年の予定に 1 つ入れておくことを勧めます。

1.49 倍は、愛知労働局が 2026 年 10 月 30 日に出した 9 月分の発表にあります。地域別の表(表 3)の原数値です。ニュースで見る愛知の 1.23 倍は、季節の波をならした季節調整値です。名古屋と並べると、愛知全体との差を正しく読めません。比べるのは、表 3 の原数値どうしです。

原数値どうしで並べると、名古屋は県内でいちばん高い

表 3 の「名古屋」は、名古屋中・名古屋南・名古屋東の 3 つのハローワークが扱った数の合計です。9 月に、この 3 つのハローワークに登録して仕事を探していた人は 40,859 人です。受け付けていた求人は 60,936 人分でした。求職者 1 人あたり 1.49 人分の求人がある計算です。

地域(ハローワーク)有効求人倍率新規求人倍率月間有効求人数月間有効求職者数
名古屋(名古屋中・名古屋南・名古屋東)1.49 倍3.16 倍60,936 人40,859 人
西三河(岡崎・豊田・刈谷・西尾)1.02 倍1.87 倍21,735 人21,407 人
尾張(一宮・半田・瀬戸・津島・犬山・春日井)0.99 倍1.94 倍27,762 人28,046 人
東三河(豊橋・豊川・新城)0.93 倍1.72 倍9,869 人10,576 人
愛知県の計1.19 倍2.34 倍120,302 人100,888 人

数字はすべて 2026 年 9 月の原数値で、新規学卒を除き、パートタイムを含みます。西三河の刈谷は碧南出張所を、東三河の豊川は蒲郡出張所を含みます。

地域ごとに有効求人倍率を並べた横棒グラフ。名古屋だけが 1.49 倍で、ほかの 3 地域は 1 倍前後
愛知の地域別の有効求人倍率(2026 年 9 月、原数値)。愛知労働局『最近の雇用情勢 令和8年9月分』の表 3 から作成

尾張・西三河・東三河は、求人と求職者がほぼ同じ数です。名古屋だけが、求職者より 2 万人分ほど多い求人を抱えています。

新しく出た求人だけで見ると、差はもっと開きます。9 月に名古屋の 3 つのハローワークが新しく受け付けた求人は 19,866 人分です。愛知全体の 40,149 人分の、半分近くを占めました。同じ月の名古屋の 3 つのハローワークへの新規の求職申込みは 6,293 件で、新規求人倍率は 3.16 倍です。

1.49 倍は、自社が募集する職種の倍率ではない

この数字はハローワークが扱った分だけで、求人サイトや紹介会社だけで募集した求人は入っていません。

職種による違いも大きく、地域ごとの職種別の数字はこの発表にありません。愛知県全体の職種別(原数値、常用)では、事務が 0.39 倍、建設・採掘が 5.61 倍でした。名古屋で事務の人を探す会社と建設の人を探す会社とでは、同じ 1.49 倍の地域でも採りやすさが違います。

転職先を決めるとき、配偶者のいる転職者の 64% が配偶者の影響を挙げた

求人の多い地域で、今いる社員の家族はどこで関わってくるのか。手がかりになる調査が 1 つあります。

リクルートキャリアは 2018 年 3 月 27〜31 日に、web のアンケートをしました。答えたのは、転職エージェント「リクルートエージェント」の登録者 1,201 人です。2017 年 8 月〜2018 年 1 月に転職した人に聞いています。問いは「入社を決めるにあたって、誰からの影響がありましたか」(複数回答)。配偶者・パートナーがいる 595 人に限ると、いちばん多かった答えは「配偶者」で 64.0% でした。

この調査が測ったのは、転職先を決めた場面です。入社のあとも働き続けるかどうかは測っていません。転職エージェントの登録者に聞いた調査で、名古屋や愛知に絞った数字でもありません。

ただ、仕事を決める場面に配偶者の見方が入ることは、64% という数字から読めます。名古屋は、県内のほかの地域より、比べられる求人の多い地域です。今いる社員がほかの会社を考えたとき、家で相談を受ける家族は、会社について何を知っているでしょうか。会社から家に何も届かなければ、家族が知る会社は、社員が家で話すことだけです。

家族が会社を知ることが、社員が働き続けることにどれだけ関わるかを測った調査は、見つかっていません。それでも冒頭の日を勧めるのは、効果が分かっているからではありません。家族が会社を知る手段を、会社の側が 1 つも持っていない状態をなくせるからです。

家族の目に入る日は、毎年同じ日に来るものから選ぶ

日付は、毎年同じ日に来るものを選ぶと、年の予定にそのまま書き込めます。決めることは 3 つです。

  1. 日付。社員の誕生日や会社の創立日のように、毎年同じ日に来るものにする
  2. 届け先。家族の目に入れたいなら、社員の自宅にする。自宅を届け先にしてよいか、社員本人に確かめてから入れる
  3. 準備する人。総務の誰が、毎年いつ何をするかまで決める

手間が出るのは、家族の誕生日のように、会社がまだ知らない日を使うときです。社員に聞かなければ分からず、答えたくない社員もいます。最初は社員本人の誕生日だけにすると、聞くことが増えません。

もう 1 つ、家族と住んでいない社員の家に届けても、家族の目には入りません。全員に同じ形が届くわけではないことは、先に分かっておいてください。

誕生日を一度入れておけば、会社の名前のカードが毎年家に届く

花がかりでは、総務の方が社員と記念日、届け先を一度入れておきます。すると毎年、その記念日の前に、会社の文と会社名を書いたカードを付けて花が届きます。カードは名刺サイズです。届け先を社員の自宅にすれば、カードを手に取るのは家族です。毎月の作業は、20 日までに翌月の一覧を確かめること(過ぎるとその一覧で確定)。名簿は、入退社や転居で変わったときだけ直します。誕生日を覚えておく必要はありません。1 件 5,000 円(税抜、2026 年 11 月時点)で基本料はなく、本人の誕生日だけでも始められます。

来年の社内の年間予定表を開き、社員の家族に会社の名前が届く日を 1 つ書き込んでください。